自閉症とは?

自閉症の診断

1943年に小児科医のカナーが、子供集団の行動観察をしていると、どうしても他児と区別せざるを得ない一群があることに気づきました。その後、多くの児童精神科医あるいは小児科医が、豊かな鋭い観察の中で、その一群に共通する行動パターンを抽出していったのです。こうした歴史的経過を背景にして、現在では幼少のときからみられる特徴的な行動パターンによって自閉症が診断されるに至ったのです。

現在、我が国を含め国際的に広く用いられている診断分類の体系が二つあります。世界保健機構(WHO)から出されている国際分類体系(ICD-10; International Criteria of Disease 10th revision)と、アメリカ精神医学会のDSM-W; Diagnostic and Statistical Manual 4th edition)です。これらの診断基準によれば、自閉症とは人生の早期から認められる発達障害であり、3つの特徴的な行動によって定義付けられています。

3つの行動特徴がどれほど強いか弱いかはその子によって違います。これらの行動特徴を非常に鮮明にもつ場合もあれば、注意深く観察してはじめてその特徴の一部がわかることもあります。前者の場合が狭い意味での自閉症であり、後者の場合は非定型自閉症などになります。
自閉症に類似しながら他の特徴を示すものに、言語発達が幼児期から良好であるアスペルガー症候群、いったん獲得された精神機能や運動能力の一部が徐々に失われるレット症候群や小児崩壊性障害などがあります。自閉症を含めこれらを広汎性発達障害と総称します。