4. 病院で出来ること −よりよく生きていくために−

療育のねらいと課題

客観的な発達指標として言語の理解の程度にあわせた太田のステージを軸に評価してます。太田のステージは言語発達の低い順からステージI、II、III-1、III-2・・・と発達段階分けをしています。
以下、各発達段階別の状態像・療育のねらいと具体的課題を一覧表に示します。

Stage I
物に名前のあることに気づいていない段階
(健常児では1歳半位までの段階)

状態像 各領域

認知・言語: 言葉かけへの反応乏しい.有意味語はない.
コミュニケ−ション: 指さしは約半数で認めない.クレ−ン現象が主である.
遊び: 感覚刺激的な遊びが多い.おもちゃの機能に沿って遊ばない.
対人: 人への関心は乏しい.視線が合わない.
異常行動: 感覚の異常.睡眠障害.情緒不安定.物並べ.

* Stage Iの下部構造

人への主な要求手段によってI-1、I-2、I-3の3つに分類
I-1:手段と目的の分化ができていない
I-2:手段と目的の分化の芽生えの段階
I-3:手段と目的の分化がはっきりと認められる段階

言語 情緒 対人

ねらい 課題
@親や身近な人との安定した関係作り スキンシップの遊びを十分する
家族がともに遊ぶ(ボール遊び追いかけごっこ)
手遊びなどで楽しみながら模倣を促す
好きな歌を歌ってあげて楽しむ
兄弟との関わりを多くするように促す
A要求手段や意欲を引き出し育てる 要求してきた時に指さしを促す
要求を出しやすくし、サインを教える
日用品を機能的に扱えるようにする
B物やおもちゃに関心を持つ おもちゃの機能に即して遊べるようにする
C言葉かけで日常場面の行動がとれる 決まった場面で決まった声がけをする
行動を促す言葉かけは簡潔にはっきりという
言葉かけに動作を添えてわかりやすくする
D物に名前のあることに気づかせる 言葉かけと絵や写真等で理解を促す(例:メニュー)
言葉の簡単な指示を出す
解らない時は指さしを添える
(例:ドア閉めて/〜持ってきて)
日常の中で物の名前を療育者が言ってあげる

適応行動

ねらい 課題
E生活のリズムをつける 規則正しい生活をする
手順を決めて日々繰り返し働きかける
F基本的な生活習慣の形成と身辺処理のスキルの獲得 言葉かけと介助で身辺処理を促し介助は徐々に減らす
出来ないことや嫌がることは療育者がやってみせる
洋服や日用品などは決まった場所に用意する
G初歩的な家事のスキルの習得 家事の手伝いに関心を向ける
(例:調理/配膳/片づけ/布団敷き/ゴミ捨て/物の移動などの補助)