4. 病院で出来ること −よりよく生きていくために−

治療の目的と3つの次元

@情緒と認知の障害の克服:

子供への働きかけのねらいは、本人の理解力と自己統制力を高めることです。この次元の働きかけは、治療の経験と蓄積と本態的な研究がすすみ、障害の特徴がはっきりとわかってくるにつれて、より効果的になっていくことでしょう。

A年齢に応じて必要な適応領域の発達を促す:

以下に各年齢の目標課題を示します。

幼児期; 基本的な社会習慣の確立、直接役に立つ話し言葉の獲得を含めた意思伝達の獲得、他人とかかわるための基本能力としての社会性の獲得、微細および粗大な協応運動*の獲得など
学童期;
基本的な家庭生活技能、相互交渉の技能、学科学習、集団生活への参加と適応などの技能の獲得
青年期; より高度な家庭生活技能、職業的技能、社会参加と社会的責任の遂行能力の獲得

年長になるにつれて、家庭、社会、職業に直接役立つ技能を教えることが重要となります。
*協応運動:視覚と手の運動を協調させたり、手足などを組み合わせて行う総合的な運動のことです。

B行動の異常を減弱させたり予防したりする:

自閉症には社会的適応の妨げになる行動が多いです。具体的には次のようなものです。

  • 常同行動
  • 情動の不安定さ
  • 睡眠障害
  • 感覚の異常
  • 自傷/他害/攻撃行動
  • 多動
  • 極端な偏食、パニック
  • 強迫様症状

異常行動の矯正だけを目指す治療教育は好ましくありません。異常行動への対処の基本は、発達を促す働きかけを行い、適応行動を増やし、異常行動の要因をよく分析・整理し、異常行動の減弱に取り組むことが必要です。
さらに、見過ごすと危険なほどの自傷、体が大きくなってきたときの他害、激しい強迫症状等がある場合には、薬物療法を含めて治療方針を工夫し直す必要もあります。