4. 病院で出来ること −よりよく生きていくために−

東大精神科小児部の治療教育

当院小児部には、発達心理外来と短期グループ(小集団療育)とがあります。発達心理外来は、幼児から思春期に至る発達障害圏の子どもを対象としており、短期グループでは、就学前の発達障害圏の子どもを対象としています。
その特色としては、認知発達的な理論に基づいた治療教育を主な手段として、個々人の認知発達の水準とその障害の特質に合わせた働きかけがなされていることです。

治療教育とは

治療教育とは、精神医学や心理学などの科学的知見に基づき、教育的手段を用いて、精神機能の障害や行動の異常を改善するように働きかけたり、精神発達や適応行動を促進したりする方法で、広い意味での精神医学的な治療法です。

発達心理外来とは

自閉症など発達障害児・者を対象に治療内容は、発達の評価と療育指導と療育相談の3つの柱からなっています。
発達の評価は子どもの精神発達や行動を適切に評価するために行うものです。
療育指導は評価に基づいた個別の療育目標・課題を実施することを通して認知や情緒の発達・適応行動の獲得・異常行動の予防減弱をうながすために行うものです。
そして、 家庭での育て方の参考にしていただいています。
療育相談は障害と発達の見方を話し合い、共通の理解を図ることで、前向きに育児を行っていくこと、また日常生活を送る上で困っている行動に対して有効な対処を考えていくために行われます。

短期グループとは

発達心理外来に通院している幼児の方を対象にしています。小集団の効果を活かして子ども同士が相互によい影響があるように、コミュニケーションや集団適応を促すことをねらいとしています。また、御家族には実際の療育場面にセラピストとともに入り、学習やゲ−ムなどに取り組む中でお子さんへの接し方や発達の促し方を参考していただけるようにと考えています。