4. 病院で出来ること −よりよく生きていくために−

療育のねらいと課題

Stage III-2
円の大小の相対比較ができるが空間関係は理解できない段階
(健常児では3歳から4歳のはじめに相当)

状態像 各領域

認知・言語: 3語文以上の言葉が可能.文字どおりの理解.
状況の文脈理解の不統合.部分的によい記憶力.
コミュニケ−ション: コトバでのコミュニケーションが可能.
しかし会話は発展しない.
遊び: 象徴遊びは見られるがゴッコ遊びは難しい.
対人: 対人関係の希薄さは減る.人との協調性のなさは残る.
異常行動: 文字や数字などへの強い興味.独特な質問癖.
[前期] いろいろな比較に気づく <意思表示が可能>
[後期] 頭の中での比較がわかる <本人に選択させることが可能>
<対の構造の獲得−相対的比較が可>

言語 情緒 対人

ねらい 課題
@自分で考えて表現したり行動できるようにする 間接的な声かけで考えさせて行動を促す
(例:「どんな約束だった?」「次は何するの?」)
本人が納得できるまで丁寧に説明する
絵本の読み聞かせやテレビ・ビデオの状況を説明したり興味を引く質問をして理解を促す
疑問詞の理解を促すように働きかける
A数や言葉を日常の中で育て応用できるようにする 食事やおやつの時に数や量・配分などの理解を促す
B体験した事や情報を言葉で伝えられる 学校からの連絡は口頭で伝えられるようにする
学校の様子や外出時のことが質問で応えられる
学校の様子や質問の答えを文字で書かせる
療育者が助詞に気をつけて簡潔にわかりやすく話す
C事前の言葉かけで予定を理解し行動を調節できる
今後の予定を言葉や文字で確認させる
カレンダーや新聞のテレビ欄で曜日や予定を理解させる
行事や新しい体験には関係する言葉や意味を分かりやすく説明しておく
D大人の介助で子ども同士のやり取りが楽しめる 学校の友達との交流を多く持つように親が配慮する
(例:普段の日やお誕生日等に友達を招く、友達を
誘って一緒に出かける、家族ぐるみで出かける)
兄弟の友達にできるだけ遊んでもらう
学童クラブや地域の集まりなどに積極的に参加する

適応行動

ねらい 課題
E社会的な自覚や家族員としての愛情をもつ 家事の手伝いが自立的にできる
(例:食器洗い、洗濯物干しと整理、調理の補助、
電気機器の確認等)
床屋、買い物、乗り物でのやり方やマナーを教える
簡単な電話の応対や留守番ができる
家族の中で感謝したりされたりする場面を多くする
F意思や自発性を育てる 本人の意思を聞いたり選択できる機会を多くする